予期せぬ役替わり公演『1789-バスティーユの恋人たち-』

星組『1789-バスティーユの恋人たち-』を観劇したので感想。

偶然取っていたチケットが8/19、代役公演初日昼公演というなかなかにレアな配役の回でした。元々観劇は一回きりのつもりでしたが代役公演を見たら、代役で活躍されていた方々の本役(?)姿も見たくなり結局配信を購入した。

 

 

https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2023/1789/index.html

 

宝塚・東宝問わず『1789』を見るのは初めて。(以前から興味があって東宝版のチケットを取ったけれどコロナで中止になった。)

今回もチケットが取れたときからずっと楽しみにしていたけれど、2年連続夏に取ったチケットが公演中止で消えていたので、公演中止の知らせが出たときはかなりどきどきした。無事に公演が再開されてうれしいけれどトップスターの礼さんは休演、代役の方々にかなり無理をさせて幕を上げるのは明白だったので、そういう意味でも緊張感。

当日の客席はやっぱり(どうなるんだろう…)という緊張感があるように感じた。

 

だけど幕が上がると、トップ代役の暁さんを筆頭に三日で仕上げたとは思えないほどに安定していて、元々代役と知っていった暁さん以外は初見では誰が代役かわからない出来だった。(元々代役稽古はされていたんだろうけれど、実際にお客を入れた舞台で三日で覚悟を決めて、あの公演ができることは本当に尊敬。)

 

初めて見た感想としては、それぞれの立場を丁寧に掬いあげているお話だという感想。あと楽曲こそ明るく盛り上がるものの、想像よりも重い話だった。フランス革命は、革命後の経緯や血なまぐささからも、イギリスやアメリカの革命と比べて重苦しい…。

脚を踏み鳴らし、手を打ち鳴らすダンスもお洒落でかっこよかったけど、フィナーレがなければそれでもなかなかに後味が悪そう。いつもありがとう宝塚のフィナーレ。

ストーリーは球戯上の誓い、三部会の招集、バスティーユ襲撃などわかりやすくまとまっていてフランス革命を学ぶ足がかりになった。

 

政権を倒すためには同じ平民身分として力を合わせる必要があるけれど、農民側からは衣食住にも困り、日々を農作業に費やす暮らしに精一杯の自分たちと、衣食住の心配をすることなく理想を掲げ、寄宿学校で高等教育を受けた代議士の彼らは「同じ」ではないだろう。彼らに「僕たちは一緒だ。王政に苦しめられている仲間だ。」と言われてもケっとひねくれたくなる気持ちは想像がつく。

一方で農民側から見たら「恵まれている」彼らにだって悩みも苦しみもあるから、きっと「恵まれている」と言われたら反発は生まれる。それでも時代を変える上では立ち上がる人が必要だし、日々の暮らしで精いっぱいの人間が最初に立ち上がるのは難しい。

だから手を取り合うしかないんだけど……難しいな、みたいなことをロナンと革命家のやり取りを見ながら考えていた。

ロナンが「俺たちはその頃、飢えに苦しんでいた…!」とカミーユ達と仲たがいする場面、革命家側は「俺たちは、君たちを救ってあげるために」と言っている。"あげる"という無意識の上から目線が、同じ立場で戦う難しさを示していると思う。でも革命家たちは本来は安全地帯に隠れられるにも関らず、その立場を捨ててリスクを取って戦っている誇りもきっとあるし……。歴史上いろんな国、色んな時代で見られる構図だけれどやっぱり難しい。

そして、贅を尽くして国民を苦しめているマリー・アントワネットもまた幸福で何の悩みもない人ではないのだ。(それでもその日の食事に困る人々から見たら、すごく恵まれていることは間違いないけれど。)

 

◆役について

 

・ロナン:礼 真琴/暁 千星

    暁さんのロナンは終始怒りが感じられた。父を殺した国への怒り、自分への怒りが根底にあって、でもその怒りをどこにぶつければいいのかわからない。そんな風に見えた。エネルギッシュで、情感豊かで直情的。妹を置いて村を飛び出したとしても誰も驚かない、自分の気持ちに正直な青年。考えは浅いけれどフットワークが軽い。パワフルな大型犬みたいで、「兄弟だ」と言ってもらった時の嬉しそうな顔、「俺はその頃飢えていた」と、仲間が結局は自分とは違うと気づいた悲しみ。表情豊かでかわいい。

舞空さんとは身長差があるのもあって並びが綺麗で、あとロナンとオランプが愛し合ってもなお分かり合えてない(ロナンはオランプの王家への忠誠心が最後までわかっていない)感じが出ていて

よかった。

 

一方で礼さんのロナンは暁さんに比べると哀しみが前面に押し出されているように感じた。心優しく思慮深い青年が父を殺されたことをきっかけに町を飛び出した。だけど本質は穏やかで落ち着いた、後先をきちんと考える人。妹を置いて村を飛び出したと聞いたら周りの人は驚くような男性。

私は星組の観劇回数は多くないけれど、礼さんはいつも思慮深く、それ故に悩み苦しむ役をされていて、それが礼さんの持ち味なんだろうな。オランプと惹かれあっていく演技も丁寧で、オランプがロナンに惹かれていくのに納得感がある。

 

カミーユ・デムーラン:暁 千星/天華 えま

   この役替わりが見たくて配信を購入したといっても過言ではない。

 あの直情型のロナンが、本来はどんなカミーユを演じているのかが気になって仕方がなかった。

 天華さんのデムーランは優雅で貴族的な理想主義者。理想の未来を思い描き、その実現のために一歩一歩進んでいく。お金持ちならではの無意識の傲慢さはあれど、それを指定されたら傷つきながらも受け入れる。ロナンとの仲たがいの場面もショックを受けた悲しそうな姿が印象的だった。優しく誠実な人柄で人をまとめ上げる感じで、個人的に大好きな人物像。

 

一方で暁さんのデムーランはギラギラ、正義感に燃えていて人を率いるリーダーシップに満ち溢れている。カリスマで、ロナンとの仲たがいの場面にも「怒り」が滲む。だけど物語の途中で、自分の無意識の傲慢さに気づき「やれやれ」と自分に肩をすくめるような、自信に満ち溢れるデムーラン。

 

こんなにアプローチの違う二人のデムーランが見られたのは贅沢な体験でした。

 

ジョルジュ・ジャック・ダントン:天華 えま/碧海 さりお

 碧海さんだけ、陣営が変わる代役(王宮陣営⇒民衆陣営)で一番覚えなければいけない歌がきっと多かっただろうに、安定感ある演技がすごい。革命家陣営のムードメーカーというか、程よい三下感が上手で首席ってすごいなぁ。

 

 天華さんのダントンは 「あの優雅なデムーラン役の方が…!」といい意味でのギャップがあった。蓮っ葉で、他二人の革命家に比べるとかっこよさが劣る代わりに親しみやすいお兄さん。娼婦に入れ込むところや、彼によってソレーヌが変わっていくところからも民衆と革命家の架け橋役なのだろう。

 

マリー・アントワネット有沙 瞳

 深みのある演技がすごかった。王族がただの愚かな悪者に見えないのは彼女の存在感のおかげだと思う。王妃の哀しみや苦悩が見えることで愚かだけど、悩み苦しむ同じ人間なんだと感じられるというか。

「すべてを賭けて」では無邪気なお姫様のように笑いながらも、自分の存在意義や人生の意味がわからない悲しみを滲ませるのも素敵だったけど、後半が本当にいい。

オランプには幸せになってほしいと願う姿、美自分の人生の意味は王に最後まで付き従い、王妃との役目を果たすことだと気づいて、運命を受け入れた笑み。笑顔で無数の感情を表現するの、本当に演技が好きでお上手な方なんだな。

 

シャルル・アルトワ:瀬央 ゆりあ

 瀬央さんの演じる悪役が好きです。ロミジュリのティボルトをされているときもずっと見とれていた。美しい人だけれど悪役をされているときのオーラと華が圧倒的だと思う。一人でセンターで歌っても寂しくならない場を掌握する力、台詞なく佇んでいるだけでもパッと目を引く存在感。(といっても表情やしぐさなどずっと演技されているわけだけど。)

 敵じゃない=主人公陣営だから、その時は主人公に遠慮して意識的にオーラを抑えているんだろうか。一幕最後の合唱は瀬央さんに思わず目を奪われる。

 

ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン:天飛 華音

 貴族らしい優雅なふるまい、王妃にとって一番大事なものが「家族」だとわかっている賢さ、彼女の決断が自分の希望と反するものでも受け入れる強さとやさしさが素敵。これは王妃様も好きになってしまうのも納得。

 

舞空瞳さんは相変わらずスーパー娘役だったし、今後処刑台への道を突き進むことを予感させる極美さんのロべスピエール、妻の浮気を知りながらも「彼と別れていいのか、国に帰ってもいいぞ。」と声を掛けられる愚かだけど優しい王様も、専科の輝月さんも魅力的だった。小桜ほのかさんのソレーヌも、一番普通の女の子な感じが好き。群像劇はやっぱり楽しい。

今後こんな事態は発生しないでほしいけれど、でもやっぱり贅沢な体験だった。

なんだか憎めない『Lilac(ライラック)の夢路 -ドロイゼン家の誇り-/ジュエル・ド・パリ!!』 -パリの宝石たち-』

夜眠れなくって、今年は感想を書く練習をしようと思っていたことを思いだして深夜テンションでばーっと書いたから誤字だらけかもしれない。

https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2023/lilacnoyumeji/index.html



 

普段は東京組ですが、今回はふと遠出したくなったから休暇に合わせてチケットを探して宝塚大劇場で見てきました。

だから、先日の大千秋楽までの間流れてくる感想を、今回は珍しく見たことがある状態で眺めていたんですが、ライラック叩かれすぎじゃない?

 

素敵なところもいっぱいあるのに、そういう感想は目立たなくて。私もライラックの旅路見た直後に「私好みではなかった」ってツイートしたけど、でも魅力的なところも勿論あって、ある意味宝塚らしいお話だなと思った。

ライラックって確かに粗はあるし、not for me だけど、でもなんだか過剰に叩かれてると庇いたくなる愛嬌がある。好みじゃないのに。判官贔屓かもしれないけど。

と、思っているのでこれはそういう記事です。

 

だからこの記事ではライラックの好きなところをまずあげます。

・宝塚ならではのトンチキ

 三宅さんのこのツッコミがとても的確なんですが、創業者の生誕130周年だから鉄道作る話やろ!ってなるの面白くないですか?

 

 私は関西に住んだことがないので、宝塚歌劇団の母体が阪急であることは普段そんなに意識していません。ただやっぱりたまに鉄道会社、というか昔ながらの日系企業らしい慣習や価値観が見えて、その時々しれっと阪急が主張してくる感じが面白いな〜と思ってます。それが今回はがっつり阪急主張してきた、しっかり宝塚ナイズドした上で!ってところがもうちょっとツボでした。

 

 

・当て書きが(おそらく)ぴったり

 宝塚の当て書き文化が私は大好きなんですが、

 和希そらさんの軍人、朝美さんの屈折したエリート正に「こんな〇〇が見たい!」そのものだなと思った。

私はあまり雪組の方々それぞれの性格は知らないけれど、それでも合っていると感じたんだから精度が高いんじゃないだろうか。

雪組ファンの方から見たらそんなことなかったらすみません…!)

演者さんの人となりを知っていればもっと楽しめたんだろうな。

 

・衣装が全部可愛い

 時代考証や役作り的に正しいかはともかく、どのお衣装も華やかで可愛らしくて豪華で、宝塚を見にきたな〜って気持ちになる。いつか謝先生のショーが見てみたい。

 

・演出が面白い

 正直、いまどこにいる設定なんだろう?と思う場面はそこそこありましたが、それでも光や階段を使った演出は素敵。

 

ただやっぱり本題以外のテーマ(女性の社会進出、貧困、失職者と移民差別)を詰め込みすぎだし、台詞も「え、どういうこと?」と耳だけでは理解しにくい部分も沢山あって、批判があがるのもわかる。

それに、宝塚って初めて見に来る人、演者の顔と名前が一致していない人、連れて来られた人も沢山いるわけで、そういう人にも楽しんでもらえるお話であって欲しいなと思います。

今回のお話は特定の役者のファンでない方には退屈な部分やわかりにくい部分も多々あったはず。(実際観劇した会は貸切だったため、連れて来られた人が多く、途中うとうとしてる方を複数見かけた。)

 

あと個人的に合わなかったと思う部分は以下。

・そもそもあの時代のドイツ史への興味が薄い

・わかりやすくお説教くさいお話が苦手

・演者の方々のパーソナリティがわからずに当て書きを楽しみきれなかった

 

脚本に関する指摘は最もだし、つまらなかったという感想が出るのも理解する。だけど完全に悪いことばっかりじゃなかったし、普段は批判したくても周りを見て黙ってしまったり、いいことしか言わない方も、批判していい空気ができたら遠慮なく批判するのインターネット?Twitterの悪いところだなと思う。

私もかなり人の感想に流されやすい部分があるし、感想を述べるのはとても苦手だから自省も込めてだけど。

 

ジュエルドパリはあやちゃんが超素敵でした。

夢白あやさん、可愛いのに気さくで、舞台に立つとかっこよくてサービス精神旺盛で元気いっぱいで好きになってしまう。

「ダイヤモンドは女の子の友達」、強くてかっこよくて彼女にぴったり。

原曲は『紳士は金髪がお好き』というマリリンモンロー主演の映画主題歌らしく、知人は「女の悲哀がつまった曲」って言っていたけど、私は強くて逞しい自分の足で立つ歌だと思っています。

私もいっぱい稼いで、そのうちに自分のお金でダイヤを買いたいな!

 

 

観劇記録(2023)

筆不精だから書き漏らしがありそう。

後から見返して楽しめるように今年こそは記録しよう、って毎年言ってる気がする。

 

1月

・まかぜいずむ@ライビュ

・芹香斗亜ディナーショー@配信(昼夜)

・『アナと雪の女王』@四季劇場春

・RRR

 

2月

・ディミトリ@東京宝塚大劇場 

・ボニー&クライド@御園座 

 2階最前と1階2列目で見やすかった〜

・禺伝 刀剣乱舞@ディレイ配信

 

3月

アレグリア(シルクドソレイユ)@お台場ビッグサイト 

 

4月

応天の門/Deep Sea @東京宝塚劇場 

+映画🎞 コナンと刀剣乱舞

AKB48 17期研究生公演@AKB48劇場

 

5月

・マチルダ@シアターオーブ 

エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-@日生劇場

・カジノロワイヤル@東京宝塚劇場

ライラックの夢路/ジュエル・ド・パリ@宝塚大劇場

 

 

6月

・リトルマーメイド

・水は海に向かって流れる

・西武対横浜ベイスターズ@横浜スタジアム

・カジノロワイヤル千秋楽@ライビュ

 

7月

君たちはどう生きるか

エクスカリバー@ライビュ

 

8月

ムーラン・ルージュ@帝国劇場

・バービー

・1789@東京宝塚劇場 代役公演+千秋楽(ライビュ)

 

9月

月組『フリューゲル/万華鏡百景色』

・ミステリという勿れ

ラグタイム

・名探偵ポアロ ヴェネチアの亡霊

 

12月

・呪いの子

痛々しいから美しい『エリザベス・アーデンVSヘレナ・ルビンスタイン』@日生劇場

※ネタバレしてます。


日比谷駅に飾られていたピンクとブルーの華やかなポスターに惹かれて、初日を観劇しました。

 

https://warpaint.jp/

https://warpaint.jp/


ポスターの雰囲気に違わずお衣装の一着一着から、舞台の小物の一つ一つまで、美しくて眼が幸せな160分でした。

舞台ってどうしても映画と比べると、道具やセットに制限がかかってしまうけど引き込んでくれるセットで演出で演技だった。パンフレットも読みごたえあって、二人のグラビアも最高。もうデザインが可愛い。

 

 


このお話はまだ女性実業家なんてほとんどいない、お化粧も女優や娼婦以外には一般的でない1930~1960年代アメリカが舞台。

化粧品と自分のスタイルを広めた女性実業家二人の対立と衰退を描く物語なんだけれど、

衰退を描きながらも、二人が全然惨めじゃないのが本当に素敵。

それに、女同士貶めあい、蹴落とそうとするお話なんだけど、二人が戦っているものや貫こうとしているものが似かよっているからか、共闘するシスターフッドの物語にも見えた。

 


最後まで二人が会うことはなく、ずっと敵対し続けていた史実の通り、何曲も同じ舞台上でデュエットを歌うんだけど視線は交わらなくて、

似たような葛藤を抱えながらも最後の最後まで安易に仲良くならなかったのが美しいなぁと思いました。演出も曲も、ストーリーもだけど本当にお二人がよかった。


もちろん成功の裏で失ったものもあるし、葛藤も描かれていて、途中エリザベスとヘレナの二人が、側近の忠告を聞き入れず失墜する姿や、はみ出し者として扱われる場面、自分を大きく見せようと偽る場面は痛々しくもあるんだけど、それでも自分のスタイルを捨てない姿が美しかった。

サクセスストーリーじゃなくて、衰退の物語、全盛期ではなく落ちきった姿がクライマックスでなんだかハッピーなのすごい。

最後の最後まで譲れないものは守り抜く維持、時代遅れだと笑われても捨てない誇りは本当に本当に元気をもらえた。プライドが高いっていい意味ばかりじゃないけれど、やっぱり美しいよね。


★キャストについて

エリザベスアーデン:明日海りおさん

華やかな存在感と、気の強さと女性らしさ。

ちょっと気取りやなアーデンがぴったりで、かっこいいのにキュートだった!

終演後、初めて舞台挨拶を拝見したんだけどご本人もチャーミングな方なんだろうなぁ。


初日挨拶では見切り発車で挨拶を始めて固まるところ、「今日が最後だよ~ってひと」とだいぶてをあげにくい挙手を客席に求めて、共演者の方に止められるところ、カーテンコールで前を向きながら後ろに下がる際に、衣装の長いガウンを踏みそうになって元夫役の上原さんに裾を持ってもらったり、手を差し出されているのがお茶目で可愛かった。

上原さんは明日海さんがガウンを踏みそうになって以降のカーテンコールはずっと裾を踏まないか心配そうに見ていました笑


お洒落でこだわりが強いところと勝ち気な表情が本当に素敵だった。

「ピンク」もう一回聞きたいな。

 

ヘレナルビンスタイン戸田恵子さん

頑固でちょっと面倒な中年女性のリアリティー

苦労してのしあがった故に自信家で傲慢、だけど本当は自分がどうみられているか知っている臆病な女性だったんだろうなと感じさせる演技が圧巻でした。実際のルビンスタインはまあまあ厄介な方だったと思うけど、でも憎めない役作り。

作品中でも、気取りやで華やかさを重視し、セレブを顧客としたアーデンと、実用性を重視し、働く女性をターゲットにしたルビンスタインは対照的な存在として描かれているけど舞台挨拶も対照的なのが面白かったです。

ちゃんと準備して、笑いをとりにきている感じ。

お二人ともテーマからーのお衣装をどれも着こなしていたけれど、戸田さんは迫力があってよかった。私もあんな風に年を重ねたい。


最後の楽屋でのやりとりを「内緒にしましょう」っていうのが大好き。


トミー:上原理生さん

ハリー:吉野圭吾さん

芽生えていく二人の友情がよかった~!

いろんな場面で笑いを引き出していたけど、どこまでが演出でどこからがアドリブなんだろう笑

当時、男社会のアメリカで女性の下について働く、しかもその女性にはあまり評価してもらえないって、かなり世間的に肩身が狭かっただろうけど、

史実でもお二人は元の会社を辞めたあとも、化粧品業界を選んでいるんだよなぁ。

史実の彼らをもっと知りたい。

 

 


他の方々もみなさんスタイルがよくて、華やかで本当に素敵だった~

お衣装がどんどん変わるから何人くらいいらっしゃるんだろうと思っていたら、カーテンコールで出てきたのは女性8人、男性3人でびっくりした。

お一人、すごく長身の女性キャストさんがおられて、宝塚出身の方かしらと思っていたら正解でした。等身がすごい。


最後も手に手を取り合うんじゃなくって秘密にしましょうっていうのが本当に好き(二回目)

 

AKB48研究生「ただいま恋愛中」公演

 

4月、何かキラキラしたものが見たいなと思って衝動的にAKB48の劇場公演に申し込んだ。その結果、当選したのは以下の公演。突発的に申し込んだのでメンバーはほとんどが知らないメンバー。だけどとても楽しかった〜!

「初回は女性限定公演が敷居が低い」と聞いていたけれど、言葉通りペンライトやうちわを持っていない人も多く、気軽な気持ちで参加できた。

あとみんな座高が低いのでみやすい。

ameblo.jp

2023年4月

17期研究生「ただいま 恋愛中」公演

【出演メンバー】

小濱心音・佐藤綺星・畠山希美・平田侑希・布袋百椛・正鋳真優・水島美結・山﨑空

 

まず前提として私はシングルもジャケットが気にいったら買う、たまに気になるメンバーがいればモバメを数か月購読、それで得られる投票権で総選挙に一、二票投票するくらいのファンと名乗るのはおこがましい状態だ?

東京に出てきて何年か経つけれど、コンサートや握手会などには行ったことがないけど、なんとなく同性のアイドルの持つ「物語性」やその仕事への姿勢や生き様が好きで、ゆるーく気になる人を追いかけている。

 

なので知っているメンバーは選抜常連のメンバーだけで、今回のメンバーの内知っているのは佐藤綺星さんだけ。

だけどやっぱりAKB48はとっておきのアイドルで、終演までには(ファンの方のコールのおかげもあり)全員の顔と名前を覚えたし、自分よりいくつも年下の女の子たちが頑張っている姿に元気をもらえた。アイドルはやっぱり素敵。

 

そして社会人になって以来、まだ学生の年下の女の子達がこんなストレスフルな環境でひたむきに笑顔を振り向いて、アイドルをしていることに胸がぎゅっとなってしまう……。思春期くらいのまだ自意識が強い年代に容姿や能力を品評され、比べられるのって絶対きついと思う。

目の前にいるのは自分なのに、自分を全く見ずに遠くの人を見ているお客さんにどれくらいで慣れるものなんだろうか。意外と元々アイドルファンだったメンバーなら「そういうもの」としてすぐに割り切れるのかな。

 

(余談ですが、そんなアイドルの強さを描いたものとして、あややさんのこの感想ブログ記事が大好きです。) 

moarh.hatenablog.jp

 

初めて訪れた劇場は想像よりもコンパクトで、だけど今まで何度もメンバーのSNSで見た看板やドアがあって「本物だ!」と少し感動。

入場のシステムは一応事前に調べていったものの、周囲の方の見よう見まねで何とか列に並んだ。

劇場内に入ると本当にど真ん中に太い柱があり、かなり視界が遮られる構造で驚いた。

伝統ある柱とは聞いていたけれどミュージカルや舞台の劇場で、こんな劇場があったら絶対悪口言ってしまう。

 

 

・小濱心音さん

作り笑顔に慣れていない感じに惹かれた。

まだ表情が固く、微笑もうとしているのだろうけれど、口角が上がりきらなくて、口を横にきゅっと引き結んだみたいになっている。だけどその顔が可愛らしくて、不器用さも応援したくなってしまって途中ずっと目で追っていた。

この日のMCでは淀みなく受け答えをしていたけれど、常連らしいファンの方々の様子を見ると、MCもまだ慣れてないのかもしれない。

終演後気になってSNSを覗いたら先輩とのツーショットではすごく自然な可愛らしい笑みで写っていて、きっと緊張故の表情の固さなんだろうな〜!

北海道出身で親元を離れて頑張っているということだけで応援してしまう。今後自然に笑うようになったら、長年のファンの方々は成長を喜びつつもちょっと寂しくなるんだろうな。

 

・佐藤綺星さん

言わずと知れたスーパー研究生。ダンスも表情もひときわ目を引いて、オーラがあるってこのことなんだなー。

SNSを覗いたら、握手会でも戦略的に企画を行っているようですごい。フォロワーさん情報だと、Instagramでは秋元先生の全ての投稿に漏れなくいいねを送っているらしい。全方位への気遣いのうまさ、人生何週目?って感じ。

 

・畠山希美さん

スタイルがいい〜!最年少らしい。彼女もまだちょっと笑顔を作り慣れていない感があった。研修生なのに既に同期が何名も選抜入りしているの焦るだろうな。

 

・平田侑希さん

癖のないすらりとした美人でモデルさんみたい。キャッチコピーがアイドルっぽくて素敵。

 

・布袋百椛さん

小柄で童顔・可愛らしい声なのに、ふとした表情が年齢相応に大人びていてどきっとした。アイドルとしての自分なりの矜持がありそう。

お若く見えるから劇場公演特有の大人っぽい歌詞をうたっているのを見るとと若干の罪悪感が芽生える。

 

・正鋳真優さん

MCでの振る舞いが印象的。優しくて周囲に気を配れるいい子なんだろうな〜。

アイドルグループのムードメーカー担当ってあんまり得をしないイメージだけど、彼女の優しさや聡明さ・アイドルらしさは守られてほしい。

 

・水島美結さん

大人っぽい顔立ちだけれど、ちょっと不安げな表情が多いのが印象的。誰が見ても美人と評されるような綺麗なお顔立ちなのに、何だか自信なさげに見えた。

5月頃から見始めたOUT OF 48な感じだと、まじめで自分に求める水準が高いのかな。

 

・山﨑空さん

表情管理がプロ。落ち着いてこなれた雰囲気は選抜で場数を踏んできたからなんだろうか。

安定したトークやパフォーマンスを見ているとリーダーにも向いていそう。

 

コロナ対策で人数を減らしての公演だったおかげで一人一人を見られる時間が多くて、楽しかった。山崎さんと佐藤さんは二人だけ圧倒的なプロっぽさをすでに身にまとっていて、圧巻。

今、追いかけているOUT OF 48では17期、18期研究生が多く活躍していて、研究生の解像度がかなり上がったので、上がった状態でまた見に行きたいな〜

初観劇の友達を連れていきたい 応天の門/DeepSea

観てきたので感想。

https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2023/outennomon/index.html

 

 

 

宝塚にはまって以来、友人からちょこちょこ「 私も一回見てみたい」と言ってもらえるのですが、舞台、 特に宝塚にアテンドするのって個人的には難しい。


東京はチケットが取りにくいこともあるけれど、一番はチケットを買う時点では面白さがわからないこと。せっかくなら紹介相手にはまりそうなもの・ 面白いものをみて好きになってほしい。でも、初演だと正直先行の段階ではわからず……。


一万円払って、数か月前から時間を空けてもらって、 3時間の時間をもらって楽しいと思えなかったら申し訳ないな、 こんなもんか……って思ってほしくないな、いつもそんなことを気にしてしまう。
でも今回の公演は、見終わったとき友達を連れてきたかったな と思いました。

 

芝居はお話も難解ではなく、どの人物も魅力的で、 一時間半ですっきりとまとまっていて、ショーも絢爛豪華な宝塚の衣装を堪能できて、 王道の構成でありながら飽きない感じ!


応天の門

この辺りは人によると思いますかま、 私は演劇を見始めた当初は名作エリザベートや最後が悲劇で終わる哀しみのコルドバあたりがうまく消化できなか ったので、演劇を見慣れていない人を連れていくなら最初はわかりやすくハッ ピーエンド、大団円な物語のほうがいいなと思ってます。

その点このお話は大団円でシリアスもあり、 コメディもロマンスもありで最適だし、全体的に脚本が本当にスマート。
今回舞台化にあたり10巻くらいまで原作を予習したのですが、原作の雰囲気そのままに、 いくつかのエピソードをうまく切り貼りし、 宝塚の枠組みにあてはめながらも登場人物たちの人となりをブレさせず、わかりやすく伝える。 

随所で原作へのリスペクトと愛を感じる公演を作り上げた 田渕先生はきっと誠実でまじめな方なんだろうな〜


今回耳だけでは理解が難しい単語(文章生、大学寮等)も、 映像や台詞で極力わかりやすく伝えようとしていて優しさを感じました。
そして演出としても映像がすごくよかった!
最初に舞台背景を説明するときの応天門、 最後道真の歌とともに映し出される夜空と梅、そして随所に登場する大きな月!
正に月組、 そして月城かなとさんの公演としてぴったり!

演者の方々も素晴らしく、原作のイメージをくずさない マンガから飛び出してきたみたいな人ばかりで素敵だった~!
タカラジェンヌの方々の原作の役を取り込む能力はすごい。

 

以下箇条書き


菅原道真
原作の道真の偏屈さ、 幼い頃から頭がいい子特有のめんどくささがにじみ出ていて、憎めない魅力があってよかった!

 

原作ではまだ青年(15,16くらいのイメージ、 年齢公表されてたかな?)だけど、今回はもう大人の月城さんが演じることで、 道真の不遇な今後をも暗示するような薄暗さが加わっていて。
この後も自分の正義を貫いて、 憧れていた唐の国力が弱まったことに悲しみを覚えながらも正しい判断(遣唐使の停止)をして、 貴族に疎まれて大宰府に左遷される。そんな将来につながることを納得させる道真でした。

月城さんを見るたびにいつも思うんですけど、お顔立ちが 整いすぎていてびっくりする。


在原業平
ちなつさんが本当に理想の業平でした…!

 ものすごいイケメンというわけではないのに、 めちゅくちゃに色っぽくて思わず目を奪われしまう圧倒的魅力。
 
道真よりも、 少し大人で世間すれしていて綺麗ごとだけでは世の中が回らないと 知っているからこそ滲む諦め。

自分が部下に舐められていること、 過去の高子との恋から藤原に目をつけられていることを全部理解して、 居心地の悪い宮廷の中でそれでも自分のできることをする。たくさんの制限がある中で楽しみを見つける。
かっこいい大人の男でちなつさんに業平はぴったりのお役で、ちなつさんは応天の門の業平にぴったりの役者さんだなと思います 。
生まれながらに人生が決められていて、たくさんの制限がある中、敷かれたレールを自分の意志で進んでいく人物が大好きなので、 どツボです…!(彩雲国物語終盤の楸瑛も大好き)

 

・高子との恋をやじられること、 そのせいで仕事に不便が出ることを苦々しく思いながらも、高子との恋、 その末の逃避行を決して後悔はしていないところがいい。

・きっと業平様は、 その寂しさを埋めるために数々の浮名を流しながらも同じように遊 び慣れている相手ばかりで、初心な少女をたぶらかすような不誠実なことはしていないんだろう な。

 ここからあの有名な「ちはやふる~」 の和歌を詠む未来につながると思うと文系オタクはテンションがあがります。この高子との恋から何年も月日が経って、 帝の后となった高子にあの歌を読んだ気持ちはどんなものだったんでしょうね。

 

昭姫
海乃美月さんにこのお役もぴったり!賢くて、勝ち気で、 女性を守る女主人。
原作では道真とのロマンス要素はないので、 どうするんだろうと思っていましたが、道真の考え方に影響を与え、 つらい過去に寄り添う場面が用意されており、なるほど!と思いました。
月城さんの道真の年恰好も原作より上なことがら、 明確な恋心は示されないまでも今後何らかの発展を予感させる感じでちょうどよかった。
わかりやすく道真× 昭姫だとやっぱり原作の二人からはそれてしまうとおもうので、絶妙ないい改変。

 

白梅
彩みちるちゃん可愛かった~!!!!そして、 完璧に原作通りだった!
二階席からもわかるくらい表情豊かで、身振りも大きく舞台の端っこでもずっと長谷雄と演技してて、 つい目で追ってしまいました。

 

清和帝
ベテランの方にも関らず、あの原作通りの少年っぷり!幼い声変わり前の声、無邪気な表情、心優しく素直でだからこそ謀りを見抜けない危うさが見事に出てた。
不安そうな表情や、基経の提案にぱっと表情を明るくするところが愛らしいよ~。

 

藤原基経
男役の中でひときわ際立つ真っ白な肌と真っ赤な口紅が人間味の薄い不気味さを出していてよかった。相変わらずの貫禄に安定した上手さで、 まだ若手の年次でいらっしゃることにびっくり。

 

多美子
多美子姫もイメージ通り、かわいく無邪気なお姫様でした。

ちょっとしたしぐさや表情がつい守ってあげたくなる感じで娘役さ んは本当にすごい。

 

◆DeepSea

明確なストーリーがないものが苦手で、 名前と顔が一致している生徒さんが少ない組のショーはよくわからないままに終わってしまうこともよくあるのですが、舞台がずっと海底だからか迷子にならずに楽しめました。
ずっと衣装がド派手で宝塚を見たという気分になる。
色んな生徒さんが入れ替わり立ち代わりでてきて、 若手の方々も少人数の見せ場があって、みんな楽しそうで、 稲葉先生ってこういうショーを作る方なんだな。
 
以下箇条書き


・強くてかっこいい娘役さんが好きなので、 海乃さんの人魚姫が好き。

秘密の花園のちなつさんの首、 スリットから除く足があまりにも色っぽくてずっとオペラで見ちゃった。男役さんの女役、 娘役さんのセクシーなダンスを見る時とは別のどきどきがありますよね。最後奈落にせり下がっていくとき、 舞台が暗転する中で月城さんがちなつさんにキスするのが見えて思わず心の中で叫びました。
 
・千海さんが出ているときはずっと目で追ってました。宝塚を好きになったのは二年前から+ 月組を生で見る機会が少なかったことからお名前を存じ上げたのはグレートギャツビーからなんですが、きっかけが、 グレートギャツビーのフィナーレ男役群舞で目を奪われたからだから、きっと踊っている千海さんが好きなんだと思う。

 

・月城さんが「ロケット!」 って叫んではけていくの面白かっこよかった。ロケット、人数いっぱいでびっくりした。

 

・デュエットダンス!最初月城さんが海乃さんを突き飛ばした時、 ちょっとDVな感じにびっくりしたんですが、 ケンカップルみたいなことなんでしょうか…?
 凛とした海乃さんはかっこよかったし、 最後のつかず離れずの感じはどきどきしたけど、でも手を出す男の人はだめだよ……。
 お衣装、事前に雑誌で拝見していたのですが、 実際に光が当たるとドレスのスパンコールがきらきらギラギラ光っ てすごく華やかで素敵。


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応天の門が本当に理想の実写化で、 原作ファンだったらめちゃくちゃうれしいな〜と思いました。そも宝塚は原作を大切にしてくれる作品がほどんどで、だから好きなんだろうな。いろいろな方が端でもずっとアドリブをしていて目が足りなかった 。
ショーも芝居もどの生徒さんも楽しそうでげんきもらった!

チケットとスケジュールの都合がつけばもう一度見に行きたいな~

観劇記録(2022)

この頃は中止が多く悲しい気持ちですが、めげずに今年もチケットとるぞ!

2022年

・『ボディガード』@東京国際フォーラム

宙組『NEVER SAY GOODBYE』@東京宝塚劇場

・『メリー・ポピンズ』@シアターオーブ

・『奇跡の人』@東京芸術劇場

雪組『夢介千両みやげ/Sensational!』@配信

宙組『FLY WITH ME』@ライビュ

宙組『カルトワイン』@東京建物 Brillia HALL

・『ザ・ウェルキン』@シアターコクーン

宙組『HiGH&LOW -THE PREQUELー/Capricciosa(カプリチョーザ)!!』@宝塚大劇場

・『モダン・ミリー』@シアタークリエ(中止)

月組グレート・ギャツビー』@東京宝塚劇場

・『天使にラブソングを』@(中止)

・朝月希和ミュージックサロン