初観劇の友達を連れていきたい 応天の門/DeepSea

観てきたので感想。

https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2023/outennomon/index.html

 

 

 

宝塚にはまって以来、友人からちょこちょこ「 私も一回見てみたい」と言ってもらえるのですが、舞台、 特に宝塚にアテンドするのって個人的には難しい。


東京はチケットが取りにくいこともあるけれど、一番はチケットを買う時点では面白さがわからないこと。せっかくなら紹介相手にはまりそうなもの・ 面白いものをみて好きになってほしい。でも、初演だと正直先行の段階ではわからず……。


一万円払って、数か月前から時間を空けてもらって、 3時間の時間をもらって楽しいと思えなかったら申し訳ないな、 こんなもんか……って思ってほしくないな、いつもそんなことを気にしてしまう。
でも今回の公演は、見終わったとき友達を連れてきたかったな と思いました。

 

芝居はお話も難解ではなく、どの人物も魅力的で、 一時間半ですっきりとまとまっていて、ショーも絢爛豪華な宝塚の衣装を堪能できて、 王道の構成でありながら飽きない感じ!


応天の門

この辺りは人によると思いますかま、 私は演劇を見始めた当初は名作エリザベートや最後が悲劇で終わる哀しみのコルドバあたりがうまく消化できなか ったので、演劇を見慣れていない人を連れていくなら最初はわかりやすくハッ ピーエンド、大団円な物語のほうがいいなと思ってます。

その点このお話は大団円でシリアスもあり、 コメディもロマンスもありで最適だし、全体的に脚本が本当にスマート。
今回舞台化にあたり10巻くらいまで原作を予習したのですが、原作の雰囲気そのままに、 いくつかのエピソードをうまく切り貼りし、 宝塚の枠組みにあてはめながらも登場人物たちの人となりをブレさせず、わかりやすく伝える。 

随所で原作へのリスペクトと愛を感じる公演を作り上げた 田渕先生はきっと誠実でまじめな方なんだろうな〜


今回耳だけでは理解が難しい単語(文章生、大学寮等)も、 映像や台詞で極力わかりやすく伝えようとしていて優しさを感じました。
そして演出としても映像がすごくよかった!
最初に舞台背景を説明するときの応天門、 最後道真の歌とともに映し出される夜空と梅、そして随所に登場する大きな月!
正に月組、 そして月城かなとさんの公演としてぴったり!

演者の方々も素晴らしく、原作のイメージをくずさない マンガから飛び出してきたみたいな人ばかりで素敵だった~!
タカラジェンヌの方々の原作の役を取り込む能力はすごい。

 

以下箇条書き


菅原道真
原作の道真の偏屈さ、 幼い頃から頭がいい子特有のめんどくささがにじみ出ていて、憎めない魅力があってよかった!

 

原作ではまだ青年(15,16くらいのイメージ、 年齢公表されてたかな?)だけど、今回はもう大人の月城さんが演じることで、 道真の不遇な今後をも暗示するような薄暗さが加わっていて。
この後も自分の正義を貫いて、 憧れていた唐の国力が弱まったことに悲しみを覚えながらも正しい判断(遣唐使の停止)をして、 貴族に疎まれて大宰府に左遷される。そんな将来につながることを納得させる道真でした。

月城さんを見るたびにいつも思うんですけど、お顔立ちが 整いすぎていてびっくりする。


在原業平
ちなつさんが本当に理想の業平でした…!

 ものすごいイケメンというわけではないのに、 めちゅくちゃに色っぽくて思わず目を奪われしまう圧倒的魅力。
 
道真よりも、 少し大人で世間すれしていて綺麗ごとだけでは世の中が回らないと 知っているからこそ滲む諦め。

自分が部下に舐められていること、 過去の高子との恋から藤原に目をつけられていることを全部理解して、 居心地の悪い宮廷の中でそれでも自分のできることをする。たくさんの制限がある中で楽しみを見つける。
かっこいい大人の男でちなつさんに業平はぴったりのお役で、ちなつさんは応天の門の業平にぴったりの役者さんだなと思います 。
生まれながらに人生が決められていて、たくさんの制限がある中、敷かれたレールを自分の意志で進んでいく人物が大好きなので、 どツボです…!(彩雲国物語終盤の楸瑛も大好き)

 

・高子との恋をやじられること、 そのせいで仕事に不便が出ることを苦々しく思いながらも、高子との恋、 その末の逃避行を決して後悔はしていないところがいい。

・きっと業平様は、 その寂しさを埋めるために数々の浮名を流しながらも同じように遊 び慣れている相手ばかりで、初心な少女をたぶらかすような不誠実なことはしていないんだろう な。

 ここからあの有名な「ちはやふる~」 の和歌を詠む未来につながると思うと文系オタクはテンションがあがります。この高子との恋から何年も月日が経って、 帝の后となった高子にあの歌を読んだ気持ちはどんなものだったんでしょうね。

 

昭姫
海乃美月さんにこのお役もぴったり!賢くて、勝ち気で、 女性を守る女主人。
原作では道真とのロマンス要素はないので、 どうするんだろうと思っていましたが、道真の考え方に影響を与え、 つらい過去に寄り添う場面が用意されており、なるほど!と思いました。
月城さんの道真の年恰好も原作より上なことがら、 明確な恋心は示されないまでも今後何らかの発展を予感させる感じでちょうどよかった。
わかりやすく道真× 昭姫だとやっぱり原作の二人からはそれてしまうとおもうので、絶妙ないい改変。

 

白梅
彩みちるちゃん可愛かった~!!!!そして、 完璧に原作通りだった!
二階席からもわかるくらい表情豊かで、身振りも大きく舞台の端っこでもずっと長谷雄と演技してて、 つい目で追ってしまいました。

 

清和帝
ベテランの方にも関らず、あの原作通りの少年っぷり!幼い声変わり前の声、無邪気な表情、心優しく素直でだからこそ謀りを見抜けない危うさが見事に出てた。
不安そうな表情や、基経の提案にぱっと表情を明るくするところが愛らしいよ~。

 

藤原基経
男役の中でひときわ際立つ真っ白な肌と真っ赤な口紅が人間味の薄い不気味さを出していてよかった。相変わらずの貫禄に安定した上手さで、 まだ若手の年次でいらっしゃることにびっくり。

 

多美子
多美子姫もイメージ通り、かわいく無邪気なお姫様でした。

ちょっとしたしぐさや表情がつい守ってあげたくなる感じで娘役さ んは本当にすごい。

 

◆DeepSea

明確なストーリーがないものが苦手で、 名前と顔が一致している生徒さんが少ない組のショーはよくわからないままに終わってしまうこともよくあるのですが、舞台がずっと海底だからか迷子にならずに楽しめました。
ずっと衣装がド派手で宝塚を見たという気分になる。
色んな生徒さんが入れ替わり立ち代わりでてきて、 若手の方々も少人数の見せ場があって、みんな楽しそうで、 稲葉先生ってこういうショーを作る方なんだな。
 
以下箇条書き


・強くてかっこいい娘役さんが好きなので、 海乃さんの人魚姫が好き。

秘密の花園のちなつさんの首、 スリットから除く足があまりにも色っぽくてずっとオペラで見ちゃった。男役さんの女役、 娘役さんのセクシーなダンスを見る時とは別のどきどきがありますよね。最後奈落にせり下がっていくとき、 舞台が暗転する中で月城さんがちなつさんにキスするのが見えて思わず心の中で叫びました。
 
・千海さんが出ているときはずっと目で追ってました。宝塚を好きになったのは二年前から+ 月組を生で見る機会が少なかったことからお名前を存じ上げたのはグレートギャツビーからなんですが、きっかけが、 グレートギャツビーのフィナーレ男役群舞で目を奪われたからだから、きっと踊っている千海さんが好きなんだと思う。

 

・月城さんが「ロケット!」 って叫んではけていくの面白かっこよかった。ロケット、人数いっぱいでびっくりした。

 

・デュエットダンス!最初月城さんが海乃さんを突き飛ばした時、 ちょっとDVな感じにびっくりしたんですが、 ケンカップルみたいなことなんでしょうか…?
 凛とした海乃さんはかっこよかったし、 最後のつかず離れずの感じはどきどきしたけど、でも手を出す男の人はだめだよ……。
 お衣装、事前に雑誌で拝見していたのですが、 実際に光が当たるとドレスのスパンコールがきらきらギラギラ光っ てすごく華やかで素敵。


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応天の門が本当に理想の実写化で、 原作ファンだったらめちゃくちゃうれしいな〜と思いました。そも宝塚は原作を大切にしてくれる作品がほどんどで、だから好きなんだろうな。いろいろな方が端でもずっとアドリブをしていて目が足りなかった 。
ショーも芝居もどの生徒さんも楽しそうでげんきもらった!

チケットとスケジュールの都合がつけばもう一度見に行きたいな~