※ネタバレしてます。
日比谷駅に飾られていたピンクとブルーの華やかなポスターに惹かれて、初日を観劇しました。
ポスターの雰囲気に違わずお衣装の一着一着から、舞台の小物の一つ一つまで、美しくて眼が幸せな160分でした。
舞台ってどうしても映画と比べると、道具やセットに制限がかかってしまうけど引き込んでくれるセットで演出で演技だった。パンフレットも読みごたえあって、二人のグラビアも最高。もうデザインが可愛い。
このお話はまだ女性実業家なんてほとんどいない、お化粧も女優や娼婦以外には一般的でない1930~1960年代アメリカが舞台。
化粧品と自分のスタイルを広めた女性実業家二人の対立と衰退を描く物語なんだけれど、
衰退を描きながらも、二人が全然惨めじゃないのが本当に素敵。
それに、女同士貶めあい、蹴落とそうとするお話なんだけど、二人が戦っているものや貫こうとしているものが似かよっているからか、共闘するシスターフッドの物語にも見えた。
最後まで二人が会うことはなく、ずっと敵対し続けていた史実の通り、何曲も同じ舞台上でデュエットを歌うんだけど視線は交わらなくて、
似たような葛藤を抱えながらも最後の最後まで安易に仲良くならなかったのが美しいなぁと思いました。演出も曲も、ストーリーもだけど本当にお二人がよかった。
もちろん成功の裏で失ったものもあるし、葛藤も描かれていて、途中エリザベスとヘレナの二人が、側近の忠告を聞き入れず失墜する姿や、はみ出し者として扱われる場面、自分を大きく見せようと偽る場面は痛々しくもあるんだけど、それでも自分のスタイルを捨てない姿が美しかった。
サクセスストーリーじゃなくて、衰退の物語、全盛期ではなく落ちきった姿がクライマックスでなんだかハッピーなのすごい。
最後の最後まで譲れないものは守り抜く維持、時代遅れだと笑われても捨てない誇りは本当に本当に元気をもらえた。プライドが高いっていい意味ばかりじゃないけれど、やっぱり美しいよね。
★キャストについて
エリザベスアーデン:明日海りおさん
華やかな存在感と、気の強さと女性らしさ。
ちょっと気取りやなアーデンがぴったりで、かっこいいのにキュートだった!
終演後、初めて舞台挨拶を拝見したんだけどご本人もチャーミングな方なんだろうなぁ。
初日挨拶では見切り発車で挨拶を始めて固まるところ、「今日が最後だよ~ってひと」とだいぶてをあげにくい挙手を客席に求めて、共演者の方に止められるところ、カーテンコールで前を向きながら後ろに下がる際に、衣装の長いガウンを踏みそうになって元夫役の上原さんに裾を持ってもらったり、手を差し出されているのがお茶目で可愛かった。
上原さんは明日海さんがガウンを踏みそうになって以降のカーテンコールはずっと裾を踏まないか心配そうに見ていました笑
お洒落でこだわりが強いところと勝ち気な表情が本当に素敵だった。
「ピンク」もう一回聞きたいな。
頑固でちょっと面倒な中年女性のリアリティー!
苦労してのしあがった故に自信家で傲慢、だけど本当は自分がどうみられているか知っている臆病な女性だったんだろうなと感じさせる演技が圧巻でした。実際のルビンスタインはまあまあ厄介な方だったと思うけど、でも憎めない役作り。
作品中でも、気取りやで華やかさを重視し、セレブを顧客としたアーデンと、実用性を重視し、働く女性をターゲットにしたルビンスタインは対照的な存在として描かれているけど舞台挨拶も対照的なのが面白かったです。
ちゃんと準備して、笑いをとりにきている感じ。
お二人ともテーマからーのお衣装をどれも着こなしていたけれど、戸田さんは迫力があってよかった。私もあんな風に年を重ねたい。
最後の楽屋でのやりとりを「内緒にしましょう」っていうのが大好き。
トミー:上原理生さん
ハリー:吉野圭吾さん
芽生えていく二人の友情がよかった~!
いろんな場面で笑いを引き出していたけど、どこまでが演出でどこからがアドリブなんだろう笑
当時、男社会のアメリカで女性の下について働く、しかもその女性にはあまり評価してもらえないって、かなり世間的に肩身が狭かっただろうけど、
史実でもお二人は元の会社を辞めたあとも、化粧品業界を選んでいるんだよなぁ。
史実の彼らをもっと知りたい。
他の方々もみなさんスタイルがよくて、華やかで本当に素敵だった~
お衣装がどんどん変わるから何人くらいいらっしゃるんだろうと思っていたら、カーテンコールで出てきたのは女性8人、男性3人でびっくりした。
お一人、すごく長身の女性キャストさんがおられて、宝塚出身の方かしらと思っていたら正解でした。等身がすごい。
最後も手に手を取り合うんじゃなくって秘密にしましょうっていうのが本当に好き(二回目)